愛を込めて極北

 「現地の捜索隊からの画像が届いた!」


 私と百合さんとの会話を目の当たりにして、どうすることもできずにいた他のスタッフたちが、メール受信に気が付いた。


 時差が半日ほどあるため、まだ昼間(この時期はほとんど白夜)の現地では依然として捜索活動が続けられている。


 楠木の活動の事務局はこの事務所だけど、現地ジョアヘヴンの町にはベースキャンプが設置されている。


 そこに捜索隊から入った連絡が、ここに転送されてくるのだけど、この度は画像がメールに添付されて送られてきた。


 「まだ悪天候で、捜索機は着陸できない状態が続いているみたい……」


 北海道の高山地帯のごとく、現地キングウィリアム島西岸ではこの時期悪天候が多く、雪のような雨が降り続き、季節を冬へと変えている。


 ベースキャンプからチャーターされた捜索機が辺りに近付いてはいるのだけど、悪天候で地表の状況が不鮮明で、着陸できないまま時が流れている。


 やむなく上空から望遠レンズを伸ばし、地上に見えた楠木のリュックを撮影した画像が送られてきた。


 「拡大してみます」


 スタッフは保存したリュックの画像を、拡大してみる。


 すると。


 リュックには大きな傷があった。


 「これって……。クマにかじられたり、ひっかかれたりした跡じゃないか?」