愛を込めて極北

 「だ、騙したわけじゃないけど、妊娠したような気がして。でも勘違いだったみたいで」


 「ちゃんと病院で、検査してなかったのか?」


 「間違いないと思ったから、だから……」


 「なんで俺にそんないい加減なこと伝えたんだ! 俺はお前が妊娠したと信じてたから……。どういうつもりで俺が決意したか……!」


 「私が妊娠を告げなければ、暁は美花さんのところへ逃げる気満々だったでしょ」


 「百合!」


 「知ってるんだから! 暁が次第に美花さんへと心変わりして、私から逃げるタイミングを窺っていたのは! 逃がしたくなかった! 逃がすつもりもなかったし!」


 「だから、俺は逃げるつもりは」


 「でも美花さんにもう、気持ちは移っていたでしょ?」


 「……」


 「美花さんから暁の心を取り戻す方法を、あれこれ考えていた時だった。生理が来なくなって二か月が経過し……。これは妊娠だ、妊娠だったらうれしい、妊娠に間違いないって期待して、暁に告げたのよ」


 「……どうして調べてからにしなかったんだ」


 「怖かったのよ! もしこれが何かの間違いだったらと思うと。だって妊娠してなければ、暁は美花さんを選んだでしょ!」