愛を込めて極北

 ……説明によると。


 生理が二か月間訪れなかったのと、初期症状のようなものがあったため、子供ができたと自己判断したとのこと。


 子供を理由に楠木に結婚を迫ることができるし、同時に私を追い落とすことも可能。


 子供ができた以上、結婚を先延ばしにし続けてきた楠木も、もはや逃げられなくなる上に、私も身を引かざるを得なくなる。


 まず私の口から百合さんの妊娠を告げられ、その後東京で直接確認したところ、本人からも打ち明けられた。


 実際楠木も、この期に及んでは責任を取らざるを得ないと、百合さんとの結婚を承諾したのだった……。


 出発などが迫っているため、入籍などは帰国後に行なうとしてまずは正式な婚約を。


 ……そして出発前夜。


 しばしの別れを告げながら、楠木の腕の中には百合さんがいた。


 そこは百合さん所有の高級マンション。


 出発前の甘い一夜を求める百合さんを残し、楠木は帰宅しようとした。


 「安定期に入る前の、大事な体なんだから……早く寝るんだ」


 などともっともらしい理由を付けて。