愛を込めて極北

 「あっ響さん、お疲れさまです」


 裏口から侵入し、関係者が待機している事務所へと入った時。


 居合わせた人たちが一斉に私たちのほうを見た。


 「美花ちゃんも、よく来てくれたね……」


 楠木の片腕的存在だった男性が、私の手を握る。


 「何か手がかりは……」


 「さっき響さんに伝えたのが、現時点では最新情報だ。今現地は真昼だから、まさに捜索活動の真っ最中で、何か分かり次第また連絡が入るとは思うけど……」


 依然として安否不明な状況は続いているようだ。


 事務所の面々は一様に、沈痛な面持ち……。


 「あ……」


 その時、奥のソファーに腰かけ、両手で顔を覆っていた人がこちらを振り返った。


 百合さんだ。


 楠木の婚約者……。


 目が合ってしまった。


 私がこの場に現れたを確認した途端、表情が変わる。


 どうしよう……。


 不安と怒りの矛先が、一気にこちらへと向けられるのだろうか……。