愛を込めて極北

 「そして……捜索の飛行機から、海岸付近の岩の上に、ぽつんと置かれたリュックサックが確認されたんだって」


 「リュック?」


 「事務所の人の話では、色と形状からして、楠木さんのもので間違いなかったって……」


 響さんの次の言葉を聞くのが怖くなってきた。


 次第に状況は、絶望的な方向へと進んでいるような気がする……。


 「……ま、本人が見つかっていない限り、結論は出ないよね。リュックを置いて歩き続けているのかもしれないし」


 響さんはいいほうに物事を考えようとしているけれど、むしろ逆効果。


 「リュックには食料の他、通信機器や防寒用具、その他旅に必要なアイテムが全て詰め込まれているはずです。それら一切なしで旅を続けるなんて自殺するようなものです」


 「そ、そうだよね。でももしかしたら何らかの不測の事態が発生し、一時的にリュックをその場に置いて立ち去り、しばらくしたら取りに帰って来るかもしれないよね」


 響さんの語る通りであってほしいし、その通りでなければならない。


 じゃなければ楠木の身に、何かあったとしか考えられないから……。