愛を込めて極北

 「捜索隊はいつ頃現場に到着するのでしょうか」


 「最後に定時連絡のあった地点付近に到達したものの、悪天候で着陸できなかったらしいの」


 「悪天候……」


 カナダ北極圏の夏は、雲に覆われることが多い。


 白夜の時期であり、晴れていれば一日中地面は太陽に照らされ、冬場の雪や氷は一気に溶ける。


 雪や氷が蒸発し、水蒸気が多く含まれた空気が冷やされ、雲を形成する。


 そして空は雲に覆われ、しばし悪天候が続く。


 ひとたび悪天候に見舞われると、気温は瞬く間に下降し、冬のような寒さが再び訪れる……。


 「そういえば何年か前に、北海道の高山でも悪天候で、夏なのに雪のようなみぞれが降り続き、大規模な遭難事件が発生したことがありましたよね」


 「夏の日本でも、高山では冷たい雨やみぞれが降って、低体温症などになって遭難する人がいるよね。北極圏はそれ以上に気温が低く、気候は過酷だから……」


 想像しただけでも寒くなる。


 実際北海道の都市部でも、冷たい雨の降る日なんかは半袖じゃいられないほど寒くて。


 本気で暖房を入れたくなることも。


 平地でもこんな有様だから、標高の高い場所に行けばさらに……。


 そして北極圏は、比べ物にならないほど……。