愛を込めて極北

 確かに、楠木は今大変な状況下にいると思う。


 でもそれは、私にはどうしようもないこと。


 一人の人間として、無事を願うだけ。


 それが全て……。


 ……。


 嘘だ。


 私は今までになく動揺している。


 全てを投げ捨てても現地まで飛んでいき、楠木の姿を探し求めたいくらいに。


 もう気持ちを抑え切れない。


 「ごめんなさい!!」


 私のことを好きだと告白してくれたばかりの人に深々と頭を下げ、背を向け、響さんの車に飛び乗った。


 「高速に乗るから!」


 「はいっ」


 私の家から楠木の事務所までは、長距離というほどではないため、高速を使っても十分ちょっと速くなる程度でお金はかかるし、いつもは高速はわざわざ使用しない。


 でもこの日は一分一秒を争う事態で、一刻も早く事務所にたどり着いて最新情報を確認したくて、響さんも高速を飛ばしてくれた。