愛を込めて極北

 行方……不明?


 ユクエフメイ。


 頭の中でその六文字がぐるぐる回る。


 いきなり外国語の単語の意味を聞かれ、ど忘れしてしまい必死で考えても思い出せなかった時のパニックに似ている。


 「楠木さんが、行方不明……?」


 響さんの告げた言葉を繰り返し、意味を頭の中で噛みしめる。


 楠木が行方不明?


 さっき確か、響さんはキングウィリアム島で、と……。


 「日課としている衛星電話を使っての定時連絡が、数日間途絶えたんだって。もはや緊急事態と判断せざるを得ず、さっき、現地時間では早朝に、捜索機が飛び立ったみたい」


 定時連絡が途絶え、捜索機が離陸。


 それって……。


 かなり切羽詰まった状況!?


 「というわけで私これから、楠木さんの事務所に行こうと思うの。これから美花ちゃんを迎えに行くから」


 「えっ、私も!?」


 正直困惑した。


 楠木が今、大変な状況下にあるのは理解しているし、一刻を争う事態であることも重々承知。


 でももう私には、直接関連性のないことなのでは?


 だって楠木には、捜索の行方を見守るたくさんのスタッフと。


 安否を誰より気遣う、妊娠中の奥さんがいる……。