愛を込めて極北

 「美花ちゃん、携帯に着信じゃない?」


 さすがに気付かれた。


 「かなり長く鳴ってるみたいだよ。出てあげたほうが」


 無視するとまずい電話だと誤解されても困るので、今着信に気付いたことにして、やむを得ず携帯電話を手に取る。


 「あれ……?」


 響さんだった。


 結婚式に出席して以来だ。


 結婚式の直後、お礼のメールを一度送信したけれど、新婚で忙しい時期だろうと思ってその後は連絡を取っていなかった。


 何だろう?


 「……もしもし?」


 やむを得ず電話に出た。


 「あ、美花ちゃん!? 何度もメールや電話したんだけど、なかなか出てくれなくて。忙しかった?」


 つまりは先刻からの執拗なメールや着信は、全て響さんから?


 「すみません。車の中で着信に気付かなくて」


 ごまかした。


 「ごめんね夜に何度も何度も」


 「いえ、何かありましたか?」


 響さんの声は明らかに焦っている。


 急用かな?


 「大変なの、楠木さんがキングウィリアム島で行方不明らしいの」


 えっ。