愛を込めて極北

 「私……」


 もったいないくらいだと思いつつも、戸惑っている私がいる。


 この誘いに乗れば……。


 何不自由ない未来が待っているはず。


 ただしもう、後戻りはできない……。


 「急がないよ。大事なことだからゆっくり考えてほしい」


 優しい人だから、私に急かすようなことはしない。


 だけど考える時間があると、余計なことを考えてしまいそうで。


 それが原因で、幸せを手放してしまう結果にもなりかねない……。


 「私……」


 迷いを断ち切るために、さっさとこの申し出を受け入れてしまったほうがいい、そんな考えがこの時点では優勢だった。


 すると……。


 ブーッ!


 携帯電話のマナーモード、振動が辺りに鳴り響いた。


 エンジン音も切られて静かだったため、余計に振動音は響き渡った。


 実は助手席に乗っていたさっきから、ずっと振動を感じていた。


 振動の長さから、メールと着信は区分されるのだけど。


 最初はメールが立て続けに五通くらい、その後着信が同じくらい続いていた。


 こんなに続くのは異様だったけど、その時車の中で真面目な話が続いていたため、携帯をチェックする余裕はなかった。