まず様々な肩書が列挙されている。


 「極北旅行家」「冒険家」「写真家」「作家」「フランクリン・マニア」……。


 なんだかんだで毎年春から夏にかけて、カナダ極北まで出向いて、フランクリン隊の軌跡を辿るような旅を続けているらしい。


 「職歴と学歴」も確認。


 東京都出身で、名の知れた高校・大学で学んでいた。


 それまではどちらかというとインドア派で、学校行事の遠足や登山も苦手だったという。


 それがふとしたきっかけで……。


 大学四年生の頃、就職活動がうまくいかず不安を抱えながら過ごしていた毎日。


 たまたま目にした雑誌で、150年以上前にカナダ北極圏で129人全員が行方不明となった「フランクリン隊」の存在を知る。


 なぜか心に引っかかり、その後参考文献などを集めて謎についてあれこれ調べる。


 趣味の延長線上で本をいろいろ読んでいるうちに、居ても立ってもいられなくなり、卒業旅行ということで貯金を全部はたいて、トータル百万円くらい要する「北極圏クルージングツアー」に参加。


 初めての極北クルーズで、神秘的な北極圏の世界にすっかりはまってしまったようだ。