愛を込めて極北

 まだ無名な頃だったため、国を挙げての「自己責任論」に基づく大バッシングに見舞われるほどではなかったとはいえ、「ヤング暴走」「若者の無計画な暴挙」として批判する声も少なくなかったようだ。


 バッシングよりもひどい目に遭ったのは、金銭苦。


 もしもの時のために救助隊をチャーターする資金は貯めてあったのだけど、まず遭難はしないだろうと楽観視していたのも事実。


 チャーター代の支払いは何とか可能だったものの、次回の旅のための資金が枯渇してしまった。


 遭難事件という失態をやらかしてしまったため、周囲の協力や理解もなかなか得られない。


 「毎年暁は旅に出かけているのだけど、その翌年だけ一年間お休みを余儀なくされたのよね」


 資金調達が上手くいかない。


 このままでは当面の活動停止を余儀なくされてしまう。


 何とか再開したい。


 ……第二の故郷と言い切るほど愛着のある極北の地へ、再び赴くために。


 楠木は禁断の選択をしたのだった。


 お金のためなら、手段を選ばないと……。