愛を込めて極北

 でも今後、頻繁にこうして副社長にパワハラを食らい続けるのも、いずれ限界に到達しそうだし。


 楠木との関係を副社長に知られた以上、気まずくなるのも間違いないし。


 こんな状態が続けば、周りに迷惑がかかったり、変な噂が広まり始めてもまずい。


 そして何より、楠木の今後の活動に悪影響を及ぼしてしまうのは……避けたい。


 「ま、私は度量が広いし、細かいことに一々腹を立てるほど暇じゃないから、あなたのことなんて大して気にもしていないけど」


 そう前置きをして、


 「私を差し置いて暁を誘惑して略奪し、玉の輿に乗ろうなどとは考えないほうが身のためよ」


 「は? 玉の輿?」


 玉の輿って……、普通は大金持ちや権力者に見初められ、現状より数ランク上の富裕階級に嫁ぐことでは?


 楠木の場合、確かに収入は多いけれど、その分支出も多いわけだから、常に自転車操業状態なのは否めない。


 「暁が後顧の憂いなく冒険に専念できているのは、リブラン社の支えがあるからなの。つまり私の存在あってこそ、暁はいつまでも夢を追いかけながら生きられるってことなのよ」