「……というわけで美花ちゃん、できることなら楠木さんを助けてあげて」


 「えっ、無理です。ていうかどうしてそういう結論になるんですか」


 「このままだったら楠木さん、一生リブラン社副社長の奴隷として過ごさなければならないのが目に見えてるから」


 「でもそうすることでしか、活動費を捻出できないんですよね。他にどうすれば」


 「今はまだ答えは見つけられないけれど、美花ちゃんが助けとなってあげさえすれば、きっと新しい道が見つかるから」


 「そればっかりは、私の力じゃどうすることも……。宝くじにでも当たらない限りは金銭面の援助は……」


 私が楠木を助ける義理もないし、そんなつもりも全くなかったし、正直どうでもいいとさえ感じていたのだけど。


 響さんに懇願され、流れで「努力してみます……」なんて口走ってしまった。


 前にもこんな展開、あったような気がするけれど……。


 そろそろ最終電車が気になり始めた時刻、無理やり約束を取り付けられた後、ようやく帰路につくことができたのだった。