愛を込めて極北

 自信満々に言い放つ一方で。


 こうして会社のことを私に対し持ち出すってことは、内心は見た目ほど自信満々ってわけではないのかも……。


 そんなことを考えたりもした。


 「そうだったんですか。これからもよろしくお願いいたします」


 淡々と答え、そのまま作業を続行。


 自分でも不思議なくらい、冷静でいられた。


 突然の副社長の登場に最初は動揺したけれど、今は周囲に変に思われたくないという気持ちのほうが大きくなっていた。


 副社長が私だけをターゲットにしているという構図は、どう見ても不自然。


 このままだったら、私と楠木に何かあったのだろうと周りの人に勘付かれてしまう……。


 その後も黙々と作業を続けているうちに、会場内はほとんど片付いた。


 「では皆さん、お疲れさま」


 現地解散となった。


 私は今日はJRで帰宅予定で、その前にJR札幌駅周辺で響さんとお茶する予定……。


 「百合、もう遅いからそろそろ」


 楠木の声が聞こえてきた。


 副社長に帰宅を促している模様。