愛を込めて極北

 「こちらのポスターは……」


 楠木の著作コーナーにも、リブラン社のポスターが展示されていたため、それはどうするか副社長に尋ねたところ、


 「それもまとめて、こちらで持ち帰るから」


 部下を呼び寄せ片付けるよう命じ、ポスターは丸められ筒状の容器に収められた。


 「……前回私が顔を出した時、あなたはまだ見かけなかったけれど。いつから事務所に出入りするようになったの?」


 私が雑用をこなす姿をしばらく無言で見守った後、副社長は私に問いかけた。


 「今年に入ってからです」


 「そう……。だったら私が、暁の婚約者だってこと知らなくても当然ね」


 「……」


 どういうつもりなのかは不明だけど。


 副社長は自身と楠木との関係を、私に再確認させるかのように語り続ける。


 「誰も教えてくれなかったの? 暁には私という存在があるということを」


 私は無言のまま聞き続けた。


 「そして……。私の婚約者という関係があるからこそ、父、いやリブラン社が全面的に暁をサポートしていることも」


 結論は、こうだ。


 「私の存在なくして、暁の活動は何一つ成立しないの」