アンダルテ ~王女と騎士の物語~



声を落として話し出した伯爵に、ドモラックは聞こえやすいように耳を傾けたが、彼は居心地が悪そうにアデルや王妃の方を見やりながら、「デュペルとランドルフの件についてです。」と付け加えた。




聞こえてきた「デュペル」という言葉に、アデルは思わず身を乗り出したが、顔色を変えたドモラックに制された。
どうやら、アデルが聞いてはならない話なのだろう。


ドモラックは近くで待機していた侍女に耳打ちをすると、やがて、エルガーべ国王とシャナーダ伯爵を伴って会場を出て行った。




「何の話かしら…。」



「アデル。それはお父様たちのお仕事よ。あなたが気にする必要はないわ。」




普段よりも感情のないような母の声に、アデルは一瞬驚いて王妃の方に振り向いたが、彼女はすでに微笑みを浮かべ、アデルを広間の方へと促した。



「そんなことよりも、初めての夜会を楽しみなさい。
お父様がいないうちに、ね。」



得意の目配せと共に送り出されたアデルであった。