アンダルテ ~王女と騎士の物語~


見るだけでもその柔らかさが伝わってくるような茶髪に、穏やかに微笑む一級品の笑顔。エルガーべ国王に引けを取らない男前な顔つきのその青年は、アデル一家に向けて省略的な挨拶をすると、アデルの横を一心に見つめた。



「ウィル…!!」



熱い視線を受けたロゼリアが嬉しそうに彼の元へと駆け寄る。




「ロゼ!」




2人は大勢人がいるにも関わらず互いを離したくないとでも言わんばかりの熱い抱擁を交わした。
愛娘の見たこともない姿にドモラックが横で地響きのように唸っているのが聞こえるが気のせいかもしれない。



「ああ、ついに君を手に入れることができたんだね。これからはずっと一緒だ。君を絶対手放さないよ。」




普通の人が言えば歯の浮くようなセリフも王子が言うと何故か様になるのがおかしいものだ、と王妃は心の中で思ったが目の前のエルガーべ国王とドモラックは違うようだ。
2人ともじっとりとした目で2人を見つめ、気持ちの悪いものを見たと言わんばかりに顔を顰めていた。




「はて、こんな気色悪いセリフを吐く息子に育てた覚えはないがな。
…ところでモルゼ国王。
そろそろ、麗しい王妃の横にいるこの可愛らしい姫をご紹介いただきたいのだが。」




エルガーべ国王は、完全に2人の世界に入ってしまったウィルとロゼリアから王妃の横で佇んでいたアデルへと興味を変えた。