「これはこれは、モルゼ国王。
随分と久しいな!」
「ああ、そうですなぁ。エルガーべ国王は最後に会った時よりも一段と若返ったように見えていらっしゃる。」
赤と金の衣装で飾られた六頭の馬たちが引く大きな馬車から降りてきたのは、白髪ひとつない黒い顎髭の生えた男性だった。馬車の絢爛さに負けず劣らず、逞しい体に煌びやかなローブを身に纏い、自信に満ち溢れたその顔は成人した3人の子供がいる父親とは思えないほどの若さっぷりである。
何を隠そうこの人物は、ロゼリアの夫となる王子の父親、つまりは隣国エルガーべの現国王陛下なのだ。
対するは、3年ほど前から腹回りを気にしはじめ、つい最近では城のコックに過酷なダイエットメニューを頼み2日で元の食事に戻した、アデルの父。
モルゼ国王のドモラックである。
「まぁ、お父様ったらエルガーべ国王が羨ましいのが見え見えだわ…。」
旧友エルガーべ国王の若々しさにみるからに衝撃を受けている父の姿が目に入り、アデルは隣に立つロゼリアと目を合わせてくすくす笑った。
「さて、こちらが我がエルガーべの第二王子のウィルとその護衛騎士のゼンだ。来なさい。」
落ち込んだドモラックを励ますように彼の肩を叩きながらエルガーべ国王は後ろを振り返り2人の青年を紹介した。
「なんとなんと…以前お会いした時はまだ私よりも小さかったというのに。ウィル殿下が立派になられて…。」
