学校に向かう途中、見覚えのある背中を見つけた。

「世那…?」

勢い余って呼んだものの、違う人だったらどうしようとか、怒ったらどうしようとか、不安が頭を過ぎる。
あたしって結構臆病みたい。

「あ、百花だ。意外と早いね」

よかった、世那だ。

「あー、栄養ゼリー咥えて来たからね?あはは」

「…は?」

「へっ?」

想定外の返事に困惑する。
あのおっとりしている世那がは?とか言うのは小1からの付き合いで初めてだ。

「え、はって何よ、びっくりしたぁ〜、世那らしくない」

「…は…んこうに…わるい…だから…」

世那が小さい声で何かを言っていた。
けれど生まれつき耳の悪い私にはよく聴こえなかった。

「へ?ごめん、なんて?」

「栄養ゼリーだからって健康に悪いんだからね?ちゃんとした食事取らないと身体に良くない!」

今度は聞こえやすく叫んだ。
やっと聞こえた。

(相変わらず世那は面倒見良いんだから)

「もう、世那ってば心配症だなあ。今度からは気を付けるよ、ありがとね!」

「…べ、別に、?」

(あ、照れてる)

やっぱり話しながら歩くと結構早く感じる。
話してる間に、いつの間にクラス表の前まで来てた。

世那とは同じクラスだといいなぁ。
元同じ小学校の子、世那しかいないし、
人見知りの私には新しい友達を作るとか、難問だ。

「えっと、峰園百花、峰園百花、峰園百花…」

あった。1組だ。