「な、な、な、なにを・・・っ!」
顔を真っ赤に染め上げ、真っ赤になったであろう耳を隠すように両手で塞ぐ。
先輩はおかしそうにケラケラと声をあげて笑う。
か、からかわれた!?
「もう、からかわないでください!」
耳元で甘くささやかれた声が離れない。
先輩の事、そんな風に見たことなんてないのに、あんな風にされたら誰だってこうなるよ。
「別に、からかってねぇよ」
「え・・・」
「・・・これ以上は余計なお世話だ。あとは自分で何とかするからもう帰りな」
「先輩・・・?」
「それとも、ほんとに襲われたいの?」
「っ、か、帰ります!」
ガタガタッと音を立て立ち上がる。
鞄を引っ掴むと慌てて玄関の方に走った。
これ以上は、私の心臓だってもたない。
なんで急にあんな風にからかうようなこと・・・。
「あの、本当に今日はすみませんでした。本当に、私にできる事ならなんでもするので・・・」
「へぇへぇ」
「あの・・・。失礼します」
「おつかれー」
挨拶を済ませると、バタバタと慌ただしく部屋を出た。