「ったくあいつは・・・。じゃあ、俺も行くね。午後からも頑張ろう」
「はい!」
「・・・はい」
金田先輩が優しい笑顔で手を振って遊佐先輩のいる場所に向かう。
離れたのを確認した後、秋穂が私を伺うように見る。
「大丈夫・・・?」
心配そうな顔がのぞく。
私は、秋穂の瞳に視線を合わせた。
「・・・うん。ごめん、ちょっと動揺してる・・・」
憧れてるだけ。
彼女になりたいわけじゃない。
そんなの、強がり。
ほんとは、もっと私を知ってほしかった。
私を好きって言ってほしかった。
彼女に・・・なりたかった。
いないはずがなかった。
あんな素敵な先輩に、そういう人がいないわけなかった。
先輩だって、もう27歳で、結婚だって考えるよね。


