溺愛妖狐ひろいました



「え?ああ・・・。んー、まだ引っ越しでバタバタしてようやく落ち着いたところだからね。もう少ししたら頼んでみようかな」




金田先輩が、少し照れくさそうにそう言った。
ドクン・・・。
胸が、なる。



「え?なんの話ですか?」



秋穂が首をかしげて問いかけた。
やめて。
聞きたくない・・・。
それ以上、聞いたらだめな気がするの。



「ああ、俺婚約したんだ。それで、相手の子と先月から同棲はじめて」

「えっ!?」




秋穂が思いもよらないように声をあげて私を見た。
どんな顔をしたらいいのかわからなくて私は目を反らす。




「それなのに、昼はコンビニなんて寂しいやつ」

「おい、浩!その言いぐさはないだろ」

「ヘイヘイ。すんませんね」




そう言いながら遊佐先輩は去っていく。
少し離れた席に座るとスマホを取り出していじり始めていた。