朝。
身体を起こすと、身体の調子はだいぶ良くなっていた。
首に違和感は少しあるけれど、動けないわけじゃない。


部屋を出ると部屋の扉の側で蹲って眠るミコトを見つけた。
ずっとここで待っていたんだ。


こんな風に従順で、私に懐いてくれているミコトが全てだって思ってた。
私の世話焼きを喜んでくれて、可愛いまるで子どもみたいなミコト。


世話を焼けるのが嬉しくて、私はちゃんと見てこなかったんだね。
ミコトの本質を。
ミコトの心の奥の奥まで。




「ン・・・、あ、亜子・・・?」



目を覚ましたミコトがハッとしたように顔をあげる。
悲しげな瞳が交わると、ミコトは何かを言おうと口を開いたけれどすぐに思いとどまるように躊躇いがちに俯いた。




「おはよう、ミコト。お腹すいたでしょ?朝ご飯にしよう」




私はわざと明るい声でそう言うとキッチンに向かった。
割り切ることはできない。
だけど、今までミコトの世話を焼いてきたのに、突然投げ出すなんてできなかった。

あんなに泣き腫らした目で謝るミコトを、感情のまま突き放すことなんて・・・。