「ペットじゃなくて、生きてる人間に興味持ちなさいよ。男だって先輩だけじゃないんだから」

「わかってるよ・・・。でも、そんなすぐ切りかえれないし。当分そういうのいいかな・・・」



自分が思っている人に同じように思ってもらうことがどれだけ奇跡なのかって重々わかった。
そして、自分がしてこなかったことがちゃんと結果に出るってことも。

私は先輩にとって、会社の後輩。
ただそれだけの存在にしかなれなかった。



「その犬って、可愛いの?」

「え、あ、うん。可愛いよ」

「へぇ。いいなぁ。うちのアパートペット厳禁だからさ、飼えないんだよね」




秋穂はそう言いながら眉を下げる。
秋穂も一人暮らしをしている。

まぁ、うちのアパートもペットダメなんだけどね・・・。
って言うのは黙っておこう。




「写真とかないの?」

「ないない。今はまだお世話が大変で、そんな余裕なくて」

「へぇ。そんなもん?撮ったら見せてね」

「う、うん」



写真なんて、見せられるわけない。
犬でもなければ普段は動物の姿でもないんだから。

でも、きっと秋穂の事だから絶対写真を要求される。
仕方ない。
犬の写真をゲットしなくちゃ。