そんな事よりも衝撃的なことが多すぎてすっかりそんな意識がなかったけど。
改めてこうやって人の視線を感じてミコトを見ると、透き通るような肌の白と髪の白が儚さを彩って。
澄んだ綺麗な瞳と、すっと伸びた鼻筋。
整いすぎたその顔に、うっとりと見惚れてしまいそうになっているのが、周りの人目の理由だろう。



「あんま、一緒に歩きたくない・・・」

「え?なに?亜子?」

「なんでもない・・・」



あまりにも隣を歩くのが不釣り合いすぎて・・・。
声を大にして、これは妖怪で妖狐で人外なんです!
って叫びたくなる。

そんな事を考えていると、ギュッと服の袖が握られるのを感じた。



「ミコト?」

「・・・やだ。人間嫌い。見てくる。怖い」

「あ・・・。そっか。ごめんね。家に戻ろうか?」



そうだった。
ミコトは人間が嫌いなんだ。
こうやって外に出るのは怪我をしてから初めてだし。
もしかしたら今までは人気のないところにいたのかもしれない。

こんな風に人の中にいることは初めてなのかも・・・。
そうだとしたら、可哀想なことをしちゃった。
ちゃんと考えてあげるべきだったよね。