「利用してくれてかまわない・・・。それで尊が耐えられるなら。辛くないのなら」

「・・・うん」

「私はいくらだって笑う。いくらだって、好きだって、愛してるっていうよ!」




尊の腕が私の身体を強く、強く抱きしめる。
触れる温もりが。
ああ、離れないでほしいと思う。

きっともう会えない。



妖狐の命は長いのだという。
きっと罪の償いも私の思っている以上に長いのだろう。



きっと、きっと。
尊が解放された時、私はもうこの世にいない。
そんな気がする。



それを、きっと尊もわかってる。
わかってるんだよね。




「ありがとう、亜子」

「愛してる、尊。ずっとよ」




私の言葉をずっと覚えていて。
私の声を。
表情を、温もりを。