「わ!美味しい!」

「本当?」



目を輝かせる尊に、私は精一杯大きく頷く。
尊が作ってくれたのは、簡単な野菜炒め。
それでも、はじめて作ってくれたにしてはとても美味しい。




「どうやって作り方調べたの?」

「テレビって箱でやってた!それ見て覚えた」

「それで作れたの?すごいね!」

「へへっ」



褒めれば尊は嬉しそうにふにゃっと笑う。
それがとても可愛くて、愛しい。



「でも、亜子が作ってくれるののほうがやっぱおいしいや」

「そんなことないよ」

「今度また一緒に作ろうね」

「うん。もちろん。作りたいものリサーチしといてね」

「うん!」




後どれだけ一緒にいられるだろう。
きっと、その不安はいつまでもついてくる。

拭う事の出来ない不安。
それでも、二人ともそれを口にはしない。