「ただいま・・・」
そして、誰もいない部屋に声をかけてしまうのは。
きっと、誰かが待ってくれている幸せを知ってしまったから。
「おかえり!」
そう、おかえりってそう言って笑って出迎えてくれる人が・・・。
「え・・・」
「亜子!おかえり!」
真っ暗な部屋から聞こえた聞き慣れた声。
弾んだその声に、一瞬戸惑う。
パチ、と玄関に電気をつけるとそこには、いるはずのない尊の姿。
「み、尊・・・?」
「うん!おれだよ!亜子!」
尊はそう言って嬉しそうに私に抱きつく。
私は訳が分からなくて戸惑いながらも尊を受け止めた。
だって、なんで。
なんで尊が・・・。
「どうして―――・・・」
「ひどいよ、亜子。勝手に決めて帰っちゃうんだから」
ぎゅうっと力を込めて抱きしめられ、尊の想いが痛いくらいに伝わってくる。


