尊の事が見えなくなって一週間。
見えるようになる気配は、ない。


遊佐先輩に聞いてみたけれど、先輩も本当に効力があるとは思っていなかったみたいで詳しいことは知らないと言われた。


そして先輩への返事は、まだしていない。
白銀の言った事を気にしているわけじゃない。

ただ、私が向き合うことが怖くて逃げているだけ。
尊への気持ちは確かなのに。
このまま見えなかったらと思うと、怖くて。




「――え?おばあちゃんの故郷?」



突然実家からかかってきた電話。
すっかり足腰の弱った祖母が突然、故郷に行きたいと言い出したらしい。

おばあちゃんの故郷って確か、結構辺鄙な村だって言ってたような。
それに、もうその村は廃れて人は住んでいないんじゃ・・・。

そんなところでも、おばあちゃんにとっては大切な思い出の場所なんだろう。
でも、突然行きたいなんて・・・。