「お前は、こんな非現実的な世界から抜け出せる。罪人である妖狐に本来はもう関わるべきじゃない」

「私、抜け出したいなんて・・・」

「お前は人間だろう。生きる場所も、生きる長さも、なにもかも違う。このまま離れたほうがお前のためだ」




見えないまま。
なにも言葉を交わさないまま。
ましてやお別れも言わないまま?


ううん。
お別れなんて、見えていたって言いたくなんてない。
だって、好きなの。

好きになってしまったのだから。



「離れたくないって・・・言っても?」

「お前を好いてくれている人間がいるのなら、その人間と一緒にいたほうがお前は幸せではないのか?」

「え・・・、なんで・・・それ・・・」

「その時の感情で突っ走るな。ちゃんと未来を見据えて物事を考えることだ」




白銀はそう言うとふっと消えてしまった。
消えたわけじゃないのかもしれない。
変化を解いただけ。


私が、見えていないだけ。