ただ、沈黙が流れていた。
尊は話し終えると俯き、不安そうにギュッと手を握りしめた。


白銀は何の感情も見せず少し離れた場所に座っている。




想像した以上に、辛い過去に私は何と言ったらいいのだろう。
私の言う言葉なんて、きっととてもちんけでなんの慰めにもならない。



「・・・おれ、やっぱシロと行く」

「え」

「人に話してようやく分かった。おれがしたことは、傲慢でエゴで、自分勝手で・・・最低なことで。おれの手は汚れてる」

「そんな事、・・・」





そんなことない、なんて安易な事言えなかった。
現実にきっと人は死んでて、それが尊のせいで。

私の知らない人だけれど、確かにそこに生きていた人で。
その命を、無情に終わらされたんだ。



どんな理由があったにせよ、それはいけないことで。
きっとそれは、妖狐の世界でも同じで。



だからこそ、尊は追われ罪に問われている。




「なんでこんな大事な事忘れてたんだろう。巴の事あんなに大事だったのに・・・」

「大事、だったからじゃない?」