「うぅ、ぐ・・・」
尊が苦しそうに唸る。
私は慌てて尊に駆け寄る。
「尊!大丈夫⁉︎」
「う、うぅー」
尊は苦しそうに体を捩る。
尊の憎悪を含んだ瞳が私を睨みつけた。
「み、尊・・・?」
ゾクっと背筋が凍る。
こ、こわい。
寝ぼけて襲われた時なんて比じゃないくらいの恐ろしいオーラが。
ど、どうして?
尊、私に対してそんな憎悪をあらわにした事なんてなかったのに。
私以外には、制御できない怒りをぶつけようとした事はあるけど。
私に対してはあの寝ぼけたときだけ。
自惚れるわけではないけれど、少しは他の人間とは違うのだと、思ってた。
でも。
「憎しみが、溢れてしかたないのだろう?殺したくて、殺したくて、堪らないだろう」
「え・・・」
「殺したい程憎かった人間に助けられ、人間化け、人間の中で生きていた気分はどうだ?」
淡々と。
嘲笑うかのように。
尊を追い詰めていく。