溺愛妖狐ひろいました



よくわからなくて。
何が起きてるのかとても怖くて。

みんなが当たり前に受け入れている現実を私は受け入れられない。



「雨宮さん。この資料のことなんだが」




突然声をかけられてハッとする。
目の前にはあの男の人、白銀・・・部長と呼ばれている人が。



「え・・・」

「これを作ったのが君だと聞いて、詳しく話を聞いても・・・」

「あ、あの、」

「なんだ?」




その人も当たり前のように話しかけてくる。
私の名前を知っていて、本当にずっとここにいたかのような態度。



それでも私は知らないし。
この状況についていけない。



「あなた、誰ですか?」




その人は、私の言葉に一瞬目を見開く。
この人に聞いてどうするんだろう。
この人だって秋穂のように、ずっとここで働いていると思っているとしたら私のこの言葉は不審でしかないし。
変な事を言ってるって思われるだろう。


それに本人に誰、だなんて失礼すぎるよね。
でも、聞かずにいられなかった。