溺愛妖狐ひろいました



「とりあえず、医務室に運ぼう。顔色が悪すぎる」




遊佐先輩が私に伸ばした手を、尊が払いのけた。



「亜子に触るな!」

「は?今そんな事言ってる場合じゃ・・・」

「おれが、おれが運ぶから」

「・・・わかった。俺は、雨宮の荷物とか着替えを用意する。先に行ってろ」




尊の迫力に、遊佐先輩はそう言うと他の社員の人に声をかけ落ち着かせていた。
私は、身動きが取れず恐怖に身体を震わせるだけ。


尊は私を軽々と持ち上げると、踵を返しフロアを出た。



側で感じるミコトの雰囲気が、とてもピリピリして恐ろしく思える。
気づかれたくなかったのに・・・。



尊に、人間を嫌いになってほしくなかったのに。




ごめんね、尊・・・。





涙がこみあげてきて、どうしようもなかった。