もし、もし、落としたのがその犯人で。
もしそれが、遊佐先輩の事を好きな人だったとしたら。
自分がしたことで、私と遊佐先輩がこんな風に近づくことを良く思わないはず。
これ以上、エスカレートしたら・・・。
そんなの、嫌。
「大丈夫です。あの、急いでるので、もう帰ります。仕事残ってるんですよね?ごめんなさい。失礼します」
「あ、おい!」
遊佐先輩の返事も聞かずに立ち上がって逃げるように走り出す。
心臓の音が煩い。
手が、震える。
冷や汗が。
怖い。
怖いよ・・・。
電車に駆け込むようにして乗り込む。
呼吸が乱れたのを必死で抑える。
落ち着かなきゃ。
家で尊が待ってる。
気づかれないように。
心配かけないようにしなくちゃ。


