尊にあたっても仕方ないのに。
尊が私に対して距離感が近いことはずっとわかってたことで。
感情を制御するのが苦手だってことも、なんとなくわかってて。
「・・・ごめんね、亜子。気を付けるから・・・怒らないで」
「・・・今日はもう他の人の仕事手伝って」
「うん・・・わかった」
尊はそういうと、フロアに向かっていった。
私が怒っても、尊は反論したりしないで素直にこうして謝ってくれる。
それなのに、私ったら一方的に怒鳴って突き放して・・・。
感情的になってバカみたい。
「なにあれ、なに様なの?」
「ほんとそれ。尊くんが素直だからって調子に乗ってるんじゃない?尊くん、可愛そう」
聞こえてきた刺々しい声。
ここは他の会社の人も通る共同の場所で。
チラリと振り向いた先には別の会社の制服の女の人たち。
敵意のある視線を私に向けていた。