「ミコト、ね。わかった。そう・・・。信じられないけど、信じるしかないわね」
「・・・」
「あ、私の名前は亜子。雨宮亜子。よろしくね」
妖怪といわれても今のところ姿は狐だしなんだかピンとこない。
怖くないのかといわれたら、正直怖い。
訳が分からなくて、不確かな存在だもの。
でも、怪我してるし、放っておけないし。
今のところ危害を加えるつもりはないみたいだし。
「・・・怪我が治るまで、ここにいてくれていいからね」
「人間の世話になんかなるか」
「うん・・・。でも、そのケガじゃ、動けないでしょう?怪我が治ったら好きなところにいってくれてかまわないし。むしろそうしてもらえたら助かるし・・・」
そうすれば、こんな非現実なことはすべて忘れていつもの日常に戻るだけ。
正直、今すぐ忘れたいけれど、さすがにそこまで鬼にはなれない。
乗りかかった船だし。
「あなたを傷つけることはしないって約束する。もし、私があなたを傷つけたら、あなたも私を傷つけてもいいわ」
「・・・、本当だな。なにかしたらその喉元噛み切ってやる」
穏やかじゃない!
倍返しじゃないの。


