ミコトが、人間の生活に興味を持ち始めている。
料理を一緒にやってみて、それはとてもいいことだって思った。


でも。





「亜子、おれ働きたい!」





そんな事を突然にも言いだしたものだから、私は正直困っている。






「は、働くって、突然どうして?」

「おれ、べんきょーした。人間は、働いてもらったお金で生きてるって」

「それは、確かにそうだけど」




お金がなければ、生きてはいけないわけで。
なにをするにしても、お金は必須で。


だからこそ、私たちは働いて収入を得てる。
そうして経済が回って、私たちも生活ができている。



でも。
ミコトは妖怪で。


人間社会にはその存在を認められてはいない存在。
だから、住民税なんてかからないし。
食べなくても平気だと言っていたから、本来なら食費だっていらない。
生きていくうえで必要なお金って、実はないのかもしれない。