溺愛妖狐ひろいました



それからの日々は、一層忙しく慌ただしく過ぎて行った。
ミコトには寂しい思いをさせ、それでも、寂しいと言いながらも家で私の帰りを待っていてくれるミコトに、私自身救われてた。


ブースの飾りつけを任されることになって、職場でも家でも小物作りに追われ、ミコトにも簡単なものを手伝ってもらったり。
慌ただしくも充実した日々。



そして・・・。




「よし。あとは開場を待つだけだな」

「はい」




ついにイベント当日。
会場には様々な旅行会社がせめぎ合い、それぞれのアピールをしている。
軽く見て回ったけど、自分では考えつかないものもあって勉強になった。


接客対応をしてくれる人は持ち場に座り待機してもらっている。
私は、呼び込みをしながらブースに訪れてくれた方をスムーズに案内する役回り。


緊張する。
準備もとても大変で、容量の悪い私はすごく時間がかかってしまったけど、実際お客様を相手にする当日が一番不得手とするものかもしれない。

ドクン、ドクン、とさっきから心臓の音が頭に響く。



「しっかりしろよ。これまでの努力を無駄にするな」

「は、はい」



遊佐先輩は、そんな私を励ましてくれているつもりなのか、そう言ってくれる。
そうだ。
泣きながら悩みながら苦戦しながらここまでやってきた。

ミコトには寂しい思いをさせた。
無駄にしないためにも、頑張らなくちゃ。