「俺に悪いと思って知らないフリしてたんだろ?」
そんなはずない。
俺は、知らなかった。
何も知らなかったんだよ。
「本当は、俺のせいで苦しんでたのは石塚なんだろ……!?」
その瞬間、俺の中でせき止められていた何かが溢れたような気がした。
ねぇ、尚也。お願いだから。
これ以上何も言わないで。
「なぁ、答えろって!」
「答えられるわけ……っ、ないじゃん……」
あぁ、俺は。
俺はもう、とっくに気づいてたんだ。
桜蘭ちゃんの気持ちが、自分に向いていたことに。
思えば、好意を寄せられてると感じるときはけっこうあった。
授業中の距離に、話し方。
俺を見る桜蘭ちゃんの顔。
咲希ちゃんへの、嫌悪感。
そして、俺を呼ぶ桜蘭ちゃんの声。



