「石塚、ごめん……」
違うんだ。こんなことを言いたいわけじゃない。
そんな悲しい顔を見たいわけじゃないんだ。
でも、俺の言葉は止まらなかった。
悔しさ。悲しみ。怒り。やりきれなさ。
この全てが入り混じったような感情が、心の中でぐるぐると回る。
こんな感覚、初めてだ。
「……俺に言うくらいなら、本人に言ってよ」
口をついて出た言葉は冷たくて。
桜蘭ちゃんの目がまた揺らいだのがわかった。
今思えば、このときの自分を許せない。
でもこのときは、俺も必死だったんだ。
自分の身を守るために。
悪者にならないために。
どうしても、その気持ちが勝ってしまって。
桜蘭ちゃんの気持ちなんて、1つも考えてなかった。
でも、今は─────。



