もう、どうにでもなればいい。
確かにそのときは、本当にそう思った。
こんな状況で笑えるほど、俺はできた人間じゃないから。
黙って体育館をあとにした。
もちろん、後ろから追いかけたそうにしてる咲希ちゃんには気づいたけど。
今は落ち着いて話せる気がしなかった。
そのまま教室に戻り、1人で本を読むことにした。
この世界に俺だけならいいのに。
いっそのこと、本の世界にでも入れたら楽なのに。
一瞬そう思ったけど、それはなんか違う、と思い直した。
だってそんなの、逃げてるような気がして。
どんなに辛くても。咲希ちゃんに振り向いてもらえなくても。
俺は諦めたくない。
逃げなければ、もしかしたら未来だって変わるかもしれないんだから。
……なぁ、尚也もそう思うでしょ?
「田代」
周りの音は聞こえないくせに、尚也の名前を呼ぶ桜蘭ちゃんの声だけは鮮明に聞こえる。
嫌な予感がした。



