「危ない……っ!」
「え……?」
突然のできごとにキョトンとしている咲希ちゃん。
でも、その目の前には。尚也がいる。
……咲希ちゃんの大好きな、尚也がいるんだ。
その場にいた全員が静まり、不自然な雰囲気になる。
尚也はなんでこんなこと……。
だって、咲希ちゃんは今、尚也のことを忘れようと必死に頑張ってるところなのに。
それなのに、邪魔しないでよ……。
「尚……?」
「……ああ」
もう、呼ばないで……。
咲希ちゃんの口から尚也の名前なんて、聞きたくないよ。
別れてから半月経ったのに、今更なんで?
「あり、がと……」
小さな声で尚也にそう言った咲希ちゃんの視線は、前を向いてなかった。
でも、それでも俺にはわかるよ。
咲希ちゃんの顔が、寂しそうだってこと。



