……いや、勘違いなんかじゃない。
そのときも、尚也は確かに助けを求めてたのに。
俺はそれに気づくことなく、また傷つけてしまった。
「……なんでもない」
言いかけた言葉を必死に喉の奥で飲み込んで。
前のような “ 友達 ” という関係に戻ることを諦めたんだ。
俺がその言葉を言っていれば、尚也を救えたかもしれないのに。
“ ごめんね ”
“ 友達に戻ろう ”
その言葉さえ言えてれば、こんなに複雑にはならなかったのに。
無言のまま向かい合っていた俺達の間を、1人の声が遮る。
「石塚ー」
そう呼んで駆け寄ってきたのは、桜蘭ちゃん。
いいのかな?
彼氏である尚也が目の前にいるのに、俺と話して。
そう思ってチラッと覗いたけど、尚也はその場から動かなかった。
この様子を見て、尚也は何を思ってる?
ねぇ、尚也は今誰のことを考えてる?



