「これ、あの日のペアリング」


春休みにおそろいで買ったペアリング。



私もちゃんと持ってる。


いつだって持ち歩いてる。


尚への気持ちをなくさないように。


自分に素直に生きられるように。



「また、始められるね」


お互いの手首につけたペアリングが光る。


それはまるで、あの頃のように何もかもが初めてで。


苦しさを乗り越えた後の爽やかな風のようだ。



始まりがあるなら、終わりだってやってくる。


それは当たり前かもしれないけど。


私は終わりがきても、絶対に離さないよ。




「尚は本当のいいの?私なんかと一緒に生きていくなんて」


そう尋ねると、尚はイタズラな顔で笑って。


「咲希のためならなんでもするって、決めたんだ」


そう、言ってくれた。