どんなに頑張っても尚の記憶だけは消せないの。
忘れられないの。
私の中から、いつまでもいなくなってくれないの。
ねぇ、苦しいよ……。
本当は、今すぐにでも助けてって叫びたい。
話を聞いてもらいたい。
また、尚の笑顔が見たい。
でも、そんなの私のワガママで、尚にとっては迷惑でしかないから。
私はまたこの気持ちを閉じ込めるんだ。
胸の中に押し寄せた涙と、忘れられないこの記憶とともに。
◇◆◇
「ん……」
目を開けた先に広がるのは、白い世界。
まるで何もない空間のような。
それでも私は、微かに香る懐かしい香りを感じたんだ。
「な、お……?」
まさか、違うよね。
でも私は感じたんだ。
動かない手に確かなぬくもりを。
鼻に微かな大好きな香りを。
その愛しさを、全身で感じたんだ。



