「咲希ちゃん……」
休み時間、武琉が突然1組の教室の前に来て、力なく声を発するから。
凛ちゃんと2人で「どうしたの?」と声をかけた。
「尚也が……」
次に続く言葉は私の嫌な予感に的中していて、不幸を呼び寄せるものだった。
「……そっか」
心は乱れてたけど言葉は意外にも冷静に出てきた。
でも我慢できなくて、次々と涙が押し寄せてくる。
聞きたくなかった。
そんなの、信じたくなかった。
ねぇ、なんで?
なんで尚は─────。
『尚也が、桜蘭ちゃんと付き合ったって』
いつまでも、私の中からいなくなってくれないの?
「……っふ、あぁ……」
私、ダメだ。
まだ尚のことが好きみたい。
今日まで忘れようと頑張ってきたのに。
なんでその努力が一瞬にして崩れ去っていくの?



