「俺の時間?」

目の前の拓海さんは目を見開き、困惑気味。

そうだよね。急にこんなこと言われたらびっくりするよね。

「わたしのために、連休、とってくれますか?」

どうにか口に出したけど、ドキドキしながら返事を待つわたしは拓海さんの顔をうかがい見る。

驚いた表情から一転、ふわりと笑った拓海さん。

「連休か。確かに連休なんて取ったことないしな。もしかして旅行のお誘い?」

からかうように言われた言葉に、わたしは慌てて首を振る。

「違います!拓海さんと二人でお家でまったりと過ごしたいんです!」

「まったり?」

「そう!まったりです。何の予定も入れずに家でのんびり過ごして欲しいんです。わたしが拓海さんをおもてなしします!」

「お、おい。ちょっと待て」

連休の過ごし方を力説するわたしに、拓海さんは慌てて待ったをかけた。

「何で誕生日のあゆに俺がもてなされなきゃいけないんだ?逆だろ」

拓海さんの言葉にふるふる首を振る。

「ダメです。わたしが拓海さんに何もしない時間を与えるのが誕生日プレゼントなんです。わたしの欲しいものです」