家族や恋人と、ちゃんと向き合えるように応援してくれた鳴海と小春。


2人は本当に良いやつで。


俺にはもったいないくらいの優しいやつで。


だから、両思いならくっつけばいいはずなんだけど…。


頭では分かっていても、心のどこかで邪魔したい気持ちが出てきてしまうんだ。


小春も、鳴海も。


俺だけのためにいてほしいって、思ってしまうんだ。


最低で、最悪。


分かっているのに止められない、もどかしく切ない思い。


「鳴海…」


ぽつりと口にすれば思い浮かぶ、暖かな微笑み。


ねえ、聞いて。


一寸成就が終わったら、君に伝えたいことがあるんだ。


それまであと数日間、友だちのままでいさせてほしい。


ほおにつたう涙がこぼれ落ちる時、俺はもう一度、君の名前を呼んだ。